毎日の食事で脳は変わる 「ブレインフード」と「コリン」
子どもを賢くするためには、毎日の食事はとても重要です。おいしい料理を楽しく食べることで、気分がよくなり、脳の司令塔である「前頭前野」と長期記憶を司る「海馬」がよく働くようになります。その結果、頭がよくなるのです。
気をつけていただきたいのが、「何を食べるか」ということ。例えば、砂糖やジャンクフードの取りすぎは、肥満を招くほか、問題行動やうつ、学習障害など、脳にも深刻な障害をもたらします。
脳には、脳をよくするための食べもの「ブレインフード」を積極的に摂ることをおすすめします。筋肉や心臓と同じく、脳も食べものからの栄養を糧にしていますから、脳が日々の食生活から影響を受けていることは確実。それが、成長期である子どもであればなおのことです。
ここでみなさんにお教えしたいのが、「コリン」です。コリンは、記憶力や学習能力を高めるのに欠かせない大変重要な栄養素で、アメリカではビタミンのひとつとして扱われています。この「コリン」を含む食べものこそ、ブレインフードの代表格。アメリカの脳科学者の間ではすでにポピュラーですが、日本ではまだ認知度が低く、私はぜひ日本でももっと知られてほしいと思っています。
ビタミンは、少量ではありますが、人間の体に絶対に必要な栄養素です。1日に摂取するコリンの量が少ないと、脳はうまく働かなくなります。コリンは、卵と大豆のほか、牛乳、肉、魚、ピーナッツなどにも含まれ、100gあたりの含有量は全卵294mg、卵黄820mg、大豆116gと、卵黄がダントツです。3歳児なら、1日に卵1個と納豆1パック、コップ1杯の牛乳を摂れば、推奨摂取量はクリア。コリンは胎児の脳の発達も促進するため、妊娠中から摂取するのがよいでしょう。
『脳を育てる!子どものためのブレインフード&レシピ71』
監修/久保田競
城南進学研究社/1350円(税別)
くぼたのうけん顧問
久保田 競 (くぼた きそう)
1932年大阪生まれ。京都大学名誉教授、医学博士、脳科学者。東京大学医学部・同大大学院卒業。京都大教授、同研究所所長を歴任。2011年春、瑞宝中綬章を受賞。40年以上前から赤ちゃん育脳の意義を唱え続け、妻カヨ子氏とともに久保田式育児法を考案。「脳の発達に応じた教育」をいち早く提案している。