3けたの整数のしりとり
みなさん「しりとり」はお好きですか? しりとりは語彙を増やすのにとてもいい遊びですね。今回は数字のしりとりです。算数オリンピックで過去に出題された問題です。
【問題】
下のように、3けたの整数の一の位からはじまる整数を次々と書いていく「3けたの整数のしりとり」をします。
335 → 502 → 299 → 901 → A → B → 222
このとき、A、Bにあてはまる3けたの整数の組み合わせは全部で何通りありますか。
(ジュニア算数オリンピックより)
一語のしりとりがないように、1けただけの数字ではしりとりはできません。
2けただとしりとりが成り立ちます。
まずは2けたのしりとりで考えてみましょう。
35 → 54 → 49 → A → B → 22
例えば上のようなしりとりですとA、Bにあてはまる整数の組み合わせは
全部でいくつあるでしょうか?
Aという整数は必ず9からはじまります。9が10の位です。ですから1の位の数は1~9までの9通り。1の位が0というのはBにつながらないので不可です。
続いてBの2けた目ですが、これはしりとりですから当然Aの1けた目と同じです。また1けた目も次の22につながるわけですから2に決まります。1通りですね。
9×1
よって9通りということです。
では算数オリンピックの問題にもどりますと
Aは「1 ア イ」
Bは「イ ウ 2」という形であらわすことができます。
(ア、イ、ウはそれぞれ1けたの整数)
Bが3けたの整数となるためには、「イ」は0にはならないので、
「ア」は0~9までの10通り
「イ」は1~9までの9通り
「ウ」は0~9までの10通りとなります。
よって10×9×10で答えは900通りということになります。
計算自体はとても簡単で、九九ですらないレベルです。しかしこれが、算数が得意な子達の頭を悩ませます。計算をすることが算数だと思っている子達には、これが算数なの?という問題です。
りんご塾代表
田邊 亨 (たなべ とおる)
滋賀県出身。ニューヨーク市立大学及びぺンシルバニア州立大学で学び、その後大手国際特許事務所、学習塾を経て、現在は彦根市でりんご塾を5教場運営している。2010年より、「りんご塾」として算数オリンピックに参戦し、毎年多数の受賞者を輩出している。長年の指導経験から、算数の早期教育の重要性や、算数好きな子どもを育てる家庭のあり方等についても全国で講演会を行っている。著書多数。