倍数の判定法
倍数の判定法は、分数を約分する時など、ある数が割り切れるかどうか知りたいときにとても便利。
ですが、この問題は、判定法をただ暗記しているだけでは全く役に立ちませんよ。
【問題】
次のように、1から99までの99個の数で、連続する3個の整数の積を全部で97個作ります。
1×2×3、2×3×4、3×4×5、・・・96×97×98、97×98×99
このなかで4の倍数である積は何個ありますか。
(洛南高校附属中学・改)
一般的な倍数の判定法
* 2の倍数 – 下1桁が2で割り切れる
* 3の倍数 – 各位の和が3で割り切れる
* 4の倍数 – 下2桁が4で割り切れる
* 5の倍数 – 下1桁が0か5
* 6の倍数 – 2の倍数であり、3の倍数である
* 8の倍数 – 下3桁が8の倍数である
* 9の倍数 – 各位の和が9で割り切れる
* 10の倍数 – 下1桁が0
4の倍数というと、下2桁が4で割り切れるとあります。
例えば、18×19×20=6840
下2桁が40でこれは4で割り切れますね。
しかしこの考え方だと、すべて計算しなくてはいけなくなって大変です。
そこですごくステキな話なんですが、「偶数×偶数は4の倍数」ということを利用しましょう。
偶数は2の倍数なので、偶数×偶数は4の倍数ということになります。
これは意識の片隅にあるといいでしょう。
しかも奇数と偶数は交互に来ます。
よってこの問題には
ア:偶数×奇数×偶数 イ:奇数×偶数×奇数
この2種類しかないということなんです。
素晴らしいでしょう?
それではアの場合から見ていきましょう。
最初の偶数は2ですから2×3×4から始まり、96×97×98が最後です。
よって2〜96の中の偶数の個数は、96÷2=48個です。
続いてイの場合。
両端の奇数同士をかけても4の倍数にはなりませんね。
ですから真ん中の偶数が4の倍数ならいいわけです。
100が4の倍数ですからそのひとつ前と考えて96。
これを4でわればいいわけですから、96÷4=24個。
48+24=72個
4の倍数は72個あるということになります。
柔軟な思考は、思い込みを捨てることから生まれますね。
りんご塾代表
田邊 亨 (たなべ とおる)
滋賀県出身。ニューヨーク市立大学及びぺンシルバニア州立大学で学び、その後大手国際特許事務所、学習塾を経て、現在は彦根市でりんご塾を5教場運営している。2010年より、「りんご塾」として算数オリンピックに参戦し、毎年多数の受賞者を輩出している。長年の指導経験から、算数の早期教育の重要性や、算数好きな子どもを育てる家庭のあり方等についても全国で講演会を行っている。著書多数。