算数コラム

なくしたものから答えを導く

折った紙の一部を切りとって展開図を問う

「第8回キッズBEEトライアル」で、こんな問題が出されました。正三角形の紙を順に折っていき、その一部を切り離して展開図の形を問う問題です。この問題の落とし穴は、広げた紙の形に着目してしまこと。すると、非常に難しくなります。

「型にはめる」ことのメリット・デメリット

ところで形や型といいますと、身近な言葉に「型にはめる」というものがあります。「型にはめる」というと個性を消すようで聞こえはよくありませんが、社会に適応させるという意味では大切です。義務教育には、単なる知識の伝達ではなく、子どもを社会的な存在にするためにカルチベート(耕す、洗練させる)するという側面もあります。義務教育を施すことは、教育を受ける側にも受け入れる側にも、安心安全というメリットがあるのです。一方で、集団からはみ出すことを恐れ、小さくまとまってしまうリスクもあるかもしれません。

欠けた部分に着目してみる

さて、図形の話にもどりますが、開いた紙の形に注目せず、その欠けた部分を考えることで、簡単に解けるようになります。切り取る前、大きな三角形は中くらいの三角形が4枚重なった状態です。切り取るのは、そこからさらに小さな三角形4つ分です。ですから(あ)~(え)の中から4つの三角形が切り取られているものを選べばよく、答えは(あ)になります。正答率は54.4%、みなさん正解しましたか?

我々はそこにあるものを見たり数えたりしますが、なくなったもの、消えたものを数えることで、答えを導くこともできるということです。義務教育によって我々の才能の芽は摘み取られてしまったのかもしれません。失くしてしまった才能に思いをはせ、まだ摘み取られていない子どもたちの才能を大切に育てていきたいものです。

りんご塾代表

田邊 亨 (たなべ とおる)

滋賀県出身。ニューヨーク市立大学及びぺンシルバニア州立大学で学び、その後大手国際特許事務所、学習塾を経て、現在は彦根市でりんご塾を5教場運営している。2010年より、「りんご塾」として算数オリンピックに参戦し、毎年多数の受賞者を輩出している。長年の指導経験から、算数の早期教育の重要性や、算数好きな子どもを育てる家庭のあり方等についても全国で講演会を行っている。著書多数。

りんご塾代表 田邊 亨(たなべ とおる)

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