脳科学コラム

子どもを急かす生活とサヨナラ ~時間の感覚を身につける~

子どもを急かす生活とサヨナラ~時間の感覚を身につける~

 

幼児は時間の感覚が未成熟

「早く片付けて」「そろそろ寝なさい」「もう少し待って」…。

日常生活で、お父さんやお母さんが子供に向かってよく使う言葉です。けれど、こういったあやふやな時間を表す言葉を、子どもは理解できません。子どもは時間の感覚が未成熟で、時間の流れをつかむ感覚がついてくるのは7歳ころからなのです。ちなみに、1年ほどの先を見通せる力がつくのは10歳ころからです。

幼児は時間の感覚が未成熟なのだとすれば、何度言ってもわからないのは当たり前。しかし、子どもがあまりに言うことを聞かないと、ついイライラしてしまうものですね。では、どうしたら時間の感覚を幼児のうちから身につけさせられるのでしょうか?

1分の長さを肌感覚でわからせよう

時間配分を考えるのは「ワーキングメモリー」、段取りをするのは「前頭前野」です。まずは、時間の基本単位である「1分」の長さを、肌感覚でわかるようにさせましょう。例えば「タイマー遊び」。時計の秒針が1回転するまで、息の続く限り「アーーー」と声を出します。大人とどちらが長く息が続くか、競うのも楽しいです。この遊びは、まだ片言しか話せない子どもでもできます。ほかにも、カップラーメンを作る際には、3分待つ間に子どもたちをどこかに行かせ、3分経ったら戻ってきてもらう遊びもいいでしょう。

1分間の長さがわかってきたら、「早く」は1分、「そろそろ」「もう少し」は3分というように、時間は具体的な数値ではっきりと伝えることが大事です。また、「3時だからおやつの時間ね」「5分でお片付けしてね」など、時計を見ながら話し、時間を決めて語りかけると、子どもが時計の見方に気づき、時間の長さを知るきっかけとなります。

数は概念や考え方を表す抽象名詞で、具体的な形を持つ普通名詞とは異なります。計算ができるようになれば、時間の理解は早いですから、そろばんや計算機をおもちゃに加えるのもよいでしょう。

7歳までの子どもは「今」がすべて

7歳くらいまでの子どもは、「今」がすべてです。過去は数週間前であってもすべて「昨日」、未来は数週間後でもすべて「明日」であるように、大まかな概念しかありません。子どもが「今」を全力で楽しむことを応援しつつ、時間の感覚を早期に身につけて、段取り上手で賢い子どもに育てたいものです。

 

くぼたのうけん顧問

久保田 競 (くぼた きそう)

1932年大阪生まれ。京都大学名誉教授、医学博士、脳科学者。東京大学医学部・同大大学院卒業。京都大教授、同研究所所長を歴任。2011年春、瑞宝中綬章を受賞。40年以上前から赤ちゃん育脳の意義を唱え続け、妻カヨ子氏とともに久保田式育児法を考案。「脳の発達に応じた教育」をいち早く提案している。

くぼたのうけん顧問 久保田 競(くぼた きそう)

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