脳科学コラム

子どもの発達への影響は? スマホやタブレットとの付き合い方 

子どもの脳への影響は? スマホやタブレットとの付き合い方 

スマホやタブレットはいつから触れさせる?

大人の生活必需品であるスマートフォンやタブレット。子どもにはいつから触れさせるべきなのか、人によって見解は様々でしょう。脳科学者の視点から言わせていただくと、1歳でも2歳でも、早いうちから触らせて構いません。乳幼児期に質のいい教育番組を見せることは、発達に一定の効果がありますし、幼児向けのタブレット教材もたくさん出ています。子どもが興味をもつことは、何でもやらせてみればいいのです。

とはいえ、子どもが長時間液晶画面を見ていることに不安を感じる方も多いでしょう。スマホやタブレットを見続けることで、子どもの発達に影響はないのか、下記の調査結果から見ていきましょう。

メディア視聴時間が長いほど発達に影響

2023年、千葉大学らの研究グループは「乳幼児期におけるメディア視聴時間と子どもの発達の関係」を調査しました。その結果、1歳からメディア視聴時間が長いと子どもの発達スコアが低くなる関連が認められました。ちなみに、発達スコアを高くする育児環境要因には、「年上の兄弟」「保育園の利用」「子どもへの読み聞かせ」があるとのことです。

また、少し遡りますが、2007年に発表されたアメリカの医師による調査も見逃せません。思春期にテレビを見る時間が1時間以内だった子どもは、3時間以上見ていた子どもよりも、集中力・読解力がともに高いという結果が出たそうです。さらに、大人になっても、学歴や健康面、経済面など、社会的に成功している人が多いこともわかりました。

これまでの様々な研究結果から、メディア視聴時間と子どもの発達の遅れの関連性が報告されていたものの、従来の解析では「メディア視聴時間が長いから発達が遅くなる」のか「発達が遅い子はメディア視聴時間が長くなりやすい」のかを分けて検討することができませんでした。そんな中、2018年にカナダで行われた先行研究では「2、3、5歳のメディア視聴時間と発達を比べた結果、メディア視聴時間が長いと発達スコアが低くなる」と報告がありました。テレビやスマホ、タブレットに触れている時間が長い子ほど、発達に影響があるのは間違いありません。

見せる内容と時間は大人が管理

現在は、テレビよりもスマホやタブレットでyoutubeを見る方が主流かと思いますが、これらはだらだら見ていれば、さまざまな動画が次々と流れてきて、一見刺激的です。しかし、これは完全に受動的なもので、脳への刺激にはなりません。見るのであれば、年代に適した内容の動画を1時間以内と、動画と時間を決めて見せましょう。

実際のところ、スマホやタブレットに触れているよりも、運動やアート、読書などに取り組んだ方が、主体性も集中力も養えるのです。子どもの健やかな発達のためにも、見せる内容と時間は周囲の大人がしっかりと監督し、もっと別の創造的なことに興味を持つよう誘導したいものです。

くぼたのうけん顧問

久保田 競 (くぼた きそう)

1932年大阪生まれ。京都大学名誉教授、医学博士、脳科学者。東京大学医学部・同大大学院卒業。京都大教授、同研究所所長を歴任。2011年春、瑞宝中綬章を受賞。40年以上前から赤ちゃん育脳の意義を唱え続け、妻カヨ子氏とともに久保田式育児法を考案。「脳の発達に応じた教育」をいち早く提案している。

くぼたのうけん顧問 久保田 競(くぼた きそう)

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