脳科学コラム

脳を鍛えてキレない人になる

最近、「肩がぶつかった」「子どもがうるさい」など、ささいなことで激しく怒り出し、キレる大人が増えたように感じます。脳科学的に見ると、キレる最大の原因は、脳の前頭前野の未発達です。

子どもをキレない大人に育てるなら… 「くぼた式育児法」の導入がおすすめです。

キレる原因は前頭前野の未発達

前頭前野は、物事を考えて判断する場所。「思考する」「感情をコントロールする」「記憶する」「集中する」「コミュニケーションする」など、人間にとって重要な働きを担っているため、脳の最高中枢とも言えるでしょう。問題解決能力に秀でている人は、この前頭前野が発達しているため、腹が立つことがあっても冷静な判断を下せます。

よって、前頭前野を鍛えれば、キレない大人になるわけです。脳は使えば使うほどに発達しますが、逆に使わなければ発達しません。幼児期にきちんと我慢や抑制を覚えさせないと、前頭前野が未発達のまま成長し、キレやすい大人になってしまいます。

家庭でできる前頭前野の鍛え方

では、前頭前野を鍛えて我慢や抑制を覚えさせるには、何をするのが有効なのでしょうか?
家庭でできる前頭前野の鍛え方には、下記の方法があります。
  • 「しなかったこと」をほめる
  • 「喜怒哀楽」を経験させる
  • 「暗算」をさせる
  • 「ブレインフード」を食べさせる

それぞれを見ていきましょう。

「しなかったこと」をほめる

乳幼児期には、「GO・NO-GO」の訓練が有効です。「GO」は「積極的に何かをすること」で、「NO-GO」とは「積極的になにかをしない」ことです。実は前頭前野は、この2つをうまく切り替えながら働いています。

例えばおいしいものが目の前にあればたくさん食べたくなりますが、食べ過ぎは肥満につながることから、健康を考えれば我慢するべきです。この我慢をセルフコントロールと呼びます。「損して得取れ」とは、一時的な利益にとらわれず、長期的な利益をとることを指すことわざですが、これができるのはセルフコントロールに長けた人です。前頭前野は、このセルフコントロールにも重要な役割を果たしています。「GO・NO-GO」で切り替える訓練をすることで、前頭前野を発達させ、セルフコントロール能力を鍛えることができるのです。

「GO・NO-GO」の訓練とは、「しなかったらほめる」ということ。例えば、子どもが壁に落書きをしたがるとき。その際、壁に描いてしまった落書きを「ダメ!」と叱るだけでなく、壁ではなく紙に書くように教えて、できたら「よくできたね!」「えらい!」とおおげさなくらいにほめます。「しない」ことに達成感と喜びを伴わせることで、「積極的に何かをしない」ことができるようになるのです。このように、積極的に何かをしないこと・することを同時に覚えさせる訓練は、ぜひ乳幼児期からしておきましょう。

「喜怒哀楽」を経験させる

また、赤ちゃんには喜怒哀楽を多く経験させることも大事です。その際に重要なのは、赤ちゃんの感情をわかってあげること、そしてそれを態度で示すことです。赤ちゃんが泣いているときは、「おむつが濡れている」「お腹がすいた」「ママが恋しい」など、泣き方によって訴えていることが違います。母親は、赤ちゃんの泣き方を注意深く観察し、その意図することを見抜くようにしましょう。

逆に、赤ちゃんが笑ったり喜んだりしているときは、同じように笑い、喜びましょう。そうすると、それが赤ちゃんにとっては快信号となり、母親が何を考えて何をしようとしているか、察するようになります。それが脳の発達につながり、賢い子ども・ひいては賢い大人へと成長していくのです。

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「暗算」をさせる

どの分野でも勉強できる賢い子どもは、算数が得意であることが多いです。それは、「数」という抽象概念を理解することで、複雑な状況を体系的に理解し、本質を見抜く力が身につくから。さらに、算数力を鍛えることで脳の前頭前野がよく働くようになり、情緒や思いやりという社会性も育まれます。この算数力を鍛えるのに有効なのが、「暗算」です。

なぜ暗算が頭にいいかと言うと、暗算を繰り返すほど「海馬」が比例して大きくなるから。海馬とは、長期の記憶を保存する働きを持つ脳の領域で、海馬が大きいほど記憶力がよくなります。暗算は、就学前に身につけておくのが理想的です。
暗算の方法は、くぼた式育児法で実践している「お経式暗算法」をおすすめしています。毎日お母さんやお父さんと「0+0=0」「0+1=1」と唱えることで、小学校では教わらない「0の概念」小学校1年修了時の算数の基本が、自然と身につくでしょう。

詳しくはコチラ ☛ 「算数力」を鍛えて賢くなる 就学前の暗算
本はコチラ ☛ 小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣――お風呂で唱えるだけで算数力がアップ! 「お経式暗算法」

「ブレインフード」を食べさせる

毎日の食事はとても重要です。おいしい料理を楽しく食べることで、気分がよくなり前頭前野もよく働くようになります。毎日の料理には、脳をよくするための食べもの「ブレインフード」を積極的に摂ることをおすすめします。筋肉や心臓と同じく、脳も食べものからの栄養を糧にしていますから、脳が日々の食生活から影響を受けていることは確実。それが、成長期である子どもであればなおのことです。砂糖やジャンクフードの取りすぎは、肥満を招くほか、問題行動やうつ、学習障害など、脳にも深刻な障害をもたらします。

ここでみなさんにお教えしたいのが、「コリン」です。コリンは、記憶力や学習能力を高めるのに欠かせない大変重要な栄養素で、アメリカではビタミンのひとつとして扱われています。この「コリン」を含む食べものこそ、ブレインフードの代表格。大豆のほか、牛乳ピーナッツなどにも含まれます。

詳しくはコチラ ☛ 毎日の食事で脳は変わる 「ブレインフード」と「コリン」
本はコチラ ☛ 脳を育てる! 子どものためのブレインフード&レシピ71 

まとめ

前頭前野を鍛えれば、キレない大人に育ちます。我慢や抑制ができる人は、他人からも信頼され、幸せな人生を歩めるでしょう。
ぜひ、ぜひ親子で一緒に取り組んでみてください。

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くぼたのうけん顧問

久保田 競 (くぼた きそう)

1932年大阪生まれ。京都大学名誉教授、医学博士、脳科学者。東京大学医学部・同大大学院卒業。京都大教授、同研究所所長を歴任。2011年春、瑞宝中綬章を受賞。40年以上前から赤ちゃん育脳の意義を唱え続け、妻カヨ子氏とともに久保田式育児法を考案。「脳の発達に応じた教育」をいち早く提案している。

くぼたのうけん顧問 久保田 競(くぼた きそう)

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