脳科学コラム

ワーキングメモリーフル回転! 料理で脳を鍛える

新型コロナウィルス感染症に、日本中が揺れました。これを機にと、外食をやめて料理作りに励んでいる方も多いのではないでしょうか。それは脳科学的に正解です。実は、料理は脳を鍛えるのに最適な作業なのです。

料理をするには、「ワーキングメモリー」を多重に使いこなす必要があります。ワーキングメモリーとは、やり終えたら忘れていい「短期記憶」のことで、さまざまな種類の知能(空間、言語、論理的思考など)を一時的に引き出し、統合する働きをします。そもそも人間の脳は、一度に複数のことを行うのが苦手です。だからこそ、その作業が複雑で難しいほど、脳の司令塔である前葉頭はしっかりと働き、発達するのです。

料理は、一度にこなくてはならないことがたくさんあります。献立を考えて材料をそろえる。お米を洗って炊飯器で炊く。数種類の野菜を刻んでサラダを作る。洗い物を並行しながらメインの魚を焼いてみそ汁も作り、それらをきれいに盛り付ける…。料理をしている間、ワーキングメモリーはフル回転です。毎日料理をする人ほど、脳が鍛えられているといってよいでしょう。

「料理が苦手」「1~2品作るだけで精一杯」という方もいるとは思いますが、要は慣れです。定期的に料理をするという環境を作ることで、能力が定着し、無意識のうちにできるようになります。手先を使うことや達成感からも脳は刺激を受けますから、卵の皮むきやごますりなど、子どもにもお手伝いをさせるのもいいですね。
さらに、家族に喜んでもらえたら、日記に書いてみましょう。「長期記憶」のひとつである「エピソード記憶」を鍛えるのも、記憶力向上に効果的です。

ワーキングメモリーフル回転! 料理で脳を鍛える

『脳を育てる!子どものためのブレインフード&レシピ71』
監修/久保田競
城南進学研究社/1350円(税別)

くぼたのうけん顧問

久保田 競 (くぼた きそう)

1932年大阪生まれ。京都大学名誉教授、医学博士、脳科学者。東京大学医学部・同大大学院卒業。京都大教授、同研究所所長を歴任。2011年春、瑞宝中綬章を受賞。40年以上前から赤ちゃん育脳の意義を唱え続け、妻カヨ子氏とともに久保田式育児法を考案。「脳の発達に応じた教育」をいち早く提案している。

くぼたのうけん顧問 久保田 競(くぼた きそう)

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