学力調査テスト「TIMSS」
世界各国の子供たちの学力を比較する全世界統一の学力調査テスト「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の2019年の結果が、2020年12月に発表されました。調査には58カ国の小学校と39カ国の中学校が参加し、日本では約8600人の小中学生がテストを受けました。日本の順位は小4算数と理科、中2の数学と理科の4教科全てで国際平均を上回り、前回15年調査に続いて5位以内と、高い水準を維持。トップは前回調査に続いてシンガポールで、全4教科でトップを独占。ほか韓国や台湾、香港などアジア勢が上位を占める結果となりました。
学力が高い水準を維持した一方、学習意欲を問う調査は国際平均を下回る傾向が見られます。質問紙調査によると、小学校理科について「勉強は楽しい」と答えた児童の割合は過去最多の92%となり、国際平均の86%を上回ったものの、「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は、小学校算数77%(国際平均84%)、中学校数学56%(同70%)、中学校理科70%(同81%)と、いずれも前回調査より増加したものの、国際平均は下回りました。
シンガポールの成功要因は、学習におけるICT環境の整備はもちろん、従来の詰め込み学習重視から応用学習重視への移行を、早くから推進してきたからと言われています。「応用学習」とは、単に知識として覚えるだけではなく、未知の問題に対して、その知識を使って自ら考え、問題を解決する能力のこと。文科省が2020年教育改革でも掲げている「学力の三要素※」は、まさにそれに当たるでしょう。
※「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的・多様性・協働性」
文科省は調査結果を踏まえ、学習意欲を高める施策を進める方針です。小学校高学年から教科指導の専門性を高める「教科担任制」を22年度めどに導入するほか、理科では主体的に学ぶ姿勢を養う実験や観察などを充実させたり、観察実験アシスアントの配置を支援したりする検討を始めています。