「習熟度別学習」は効果的?
過半数の保護者は「習熟度別学習」に肯定的
公立の小中学校にも、「習熟度別授業」が浸透してきました。習熟度別授業とは、1つの学級を習熟度別に2~3のグループに分けるなどして、少人数で授業を行う授業形態です。主に4年生以上で行われますが、1年生から実施している学校もあります。算数や英語など、得手不得手の差が大きい教科で行われることが多いです。
株式会社イー・ラーニング研究所が22年11月に発表した「2022年:学校教育と受験に関する意識調査」によると、「学力別のクラス分け」を求める親は57%と半数以上にのぼりました。特に求められている教科は1位「算数」、2位「英語」で、苦手意識を持たれやすい「算数」や必修化された「英語」は、子どもの習熟度に合わせて学ぶべきと考えられていることがわかりました。
各学校に合わせた運用方法を
しかしこの習熟度別授業には、効果があるという研究もあれば、そうでないという研究もあります。教師の指導の質やグループの分け方、サンプリングされた子どもの学力層によっても結果は変わってくるため、効果を検証するのは難しいことです。
また、習熟が速い子・遅い子に分けて授業をすることが、優越感や劣等感につながり、クラス内に分断を生むという危惧もあります。ですから、学級を分けたからといって「できるグループ・できないグループ」とネガティブな区別をするのではなく、「一人ひとりの能力や好みに合わせて学習することが重要」という価値観を教員・子どもが共有していくことが大切です。そうすることで、勉強が得意な子が苦手な子に教えるような、まさに文科省が提言する“協働的な学び”の実現にもつながるでしょう。
習熟度別授業の運用には、「こうすればうまくいく」という一つの答えはありません。各学校が、子どもたちの実態に合わせた運用方法を考えることで、効果を発揮すると言えそうです。