子どもの視力低下を防ぐには。
下がり続ける子どもの視力
子どもの視力は、1979年に統計を取り始めて以降、40年余りにわたって低下傾向が続いています。文部科学省が、全国の幼稚園や小中学校、高校を対象に毎年行っている「学校保健統計調査」によると、視力検査で裸眼の視力が1.0未満だった子どもの割合は、下記の通りです。
小学生 | 中学生 | 高校生 | |
1979年度 | 17.91% | 35.19% | 53.02% |
1989年度 | 20.60% | 40.90% | 55.81% |
1999年度 | 25.77% | 49.69% | 63.31% |
2009年度 | 29.71% | 52.54% | 59.37% |
2020年度 | 37.52% | 58.29% | 63.17% |
どの年齢層でも年々視力が低下し、特に小学生でその割合が大きくなっていることがわかります。
世界中で進む近視とその対策
主な原因は、ライフスタイルの変化。スマートフォンや携帯ゲームの普及や、学校でのタブレット端末の支給により、近くのもの見続ける時間が増えたことで、日本だけでなく、世界中で子どもの近視が進んでいるのです。しかしながら、視力の保護に関しては、あまり議論されていないのが現状です。
アメリカ眼科学会は、20分間継続して近くを見た後は、20フィート(約6m)以上離れたものを20秒間眺めるという「20ー20ー20」ルールを推奨してしています。
さらに近年では、1日約2時間、屋外で活動して十分な光を浴びることで、近視の進行を抑えられることがわかってきています。台湾ではおよそ10年前から、小学校で1日に2時間以上屋外で光を浴びるようにした結果、視力0.8未満の小学生の割合が5%以上減ったというデータもあります。コロナ禍で外出の機会が減り、日光を浴びなくなったことも、視力の低下に影響していると言えそうです。
近視は、30㎝以内の近いところを見る時間が長くなると進行します。視力の発達は、1歳半ごろにピークを迎え、その後は徐々に衰退し、8歳ごろまでに消失すると考えられています。子どもには幼いうちから、上記のルールを習慣化させることが重要です。
視力を守るためのルール
近くのものを約20分見たら、窓の外を20秒以上見て休憩する
昼休みや体育の時間に外に出て、太陽光を浴びる
読書やスマホ、タブレットを見るときは、姿勢を正して顔を30㎝以上離す
寝転がってスマホやタブレットを見るのをやめる