【不登校支援】横浜市立鴨居中学校 様
教務主任 主幹教諭 中村悟 先生
導入のきっかけ
2019年5月に横浜市教育委員会より「デキタス」を紹介され、導入しました。当校では、不登校または普通クラスで授業を受けられない生徒、著しく学習が遅れている生徒に対して学校内特別支援教室「和(なご)み」ルームを開設しています。中学校では教科ごとに専任教員が教えるのですが、1人の支援員が学年の違う複数の生徒を教えるのはとうてい無理です。そこで、教員不要で学年を越えて教科書内容を学ぶことができる「デキタス」を利用した不登校支援を行っております。
具体的なサポート内容
①「デキタス」を用いた学習
「まなびたいことシート」にて、支援員と共に学習計画を立て、生徒は自分のペースで「デキタス」を使った学習を進めていきます。「デキタ’sノート」をプリントアウトして、実際に鉛筆で書くことで、学んだことの定着も図れます。
「和みルーム」での各自机に向っての学習のほか、図書館を解放して、輪になっての学習も月1回行っています。生徒のオンライン参加もOKです。
②おしゃべり会
月1回ペースで、生徒・支援員・教員・城南進学研究社の社員を交えた「おしゃべり会」を開催しています。当初は少人数のグループを作り、提示された事例をもとにグループワークやディスカッションを行う、いわゆる(PBL Project Based Learning:課題解決型学習)を考えていたのですが、生徒には少しハードルが高く、現在の「おしゃべり会」という形に落ち着きました。「おしゃべり会」では、みんなでカードゲームをしたり、話題を決めてお話をしたり、内容は子ども自身が自由に決めています。不登校の子たちはふだんから会話する機会が少ないので、ここで言葉のキャッチボールをすることは、とても大事です。くだけた雰囲気でなら、ちょっと踏み込んだ会話もできます。
③多様な進路説明会
保護者向けの進路説明会です。他校の方でも参加できます。学校の担当者から直接説明を受けられる機会でもあり、年2回開催していますが、保護者からの評判がよく、もっと回数を増やしてほしいとの要望も受けています。
下記は一例です
- 城南進学研究社セミナー「“予測困難な時代”の到来に対する心構え」
- 多様な進路の概略
- 学校紹介
- 懇談会・高校個別相談会&座談会
導入してよかったこと
・学習習慣が定着し、学習意欲が向上
「デキタス」を用いて個々の学習意欲に寄り添った学習計画を作成した結果、学習習慣が定着し、学習意欲が明らかに向上しました。
例えば、週2回しか学校に来られなかった生徒は、勉強することが習慣化し、登校回数が週3回に増えました。学習計画表に則って理科の中学校範囲を全て終わらせた生徒は、次の目標として定期テストで目標点を定めるようになりました。問題を解いても全くわからなかった生徒は、「さかのぼり機能」でどこまでさかのぼれば解けるようになるのかわかったことで、自発学習を生み出しました(人に教わるのは恥ずかしいけれど、「デキタス」を使って1人で勉強する分には恥ずかしくない)。アニメーションによる授業動画→演習問題の流れが、学習に取り組みやすくさせているようです。
・客観的な振り返りが可能
学習ログが可視化されているため、生徒自身による客観的な振り返りが可能になり、やる気へとつながるようになりました。
・教員による進捗状況の把握
デキタスの管理画面上から、生徒の進捗状況を把握できるので、教科担任が和みルームを訪ねて学習状況に合わせた指導をすることも可能です。進捗状況が把握できなければ、状況把握だけでも相当な時間がかかります。デキタスを導入することで、そうした問題が解消されました。
当支援を用いた今後の展望
城南進学研究社との不登校支援の取り組みは、2023年で5年目です。「デキタス」での学習支援だけでなく、「おしゃべり会」や「進路セミナー」など、多岐に渡る支援の形をともに作り上げてきました。学習習慣がつくことで生徒たちに自信が生まれたことはもちろん、「おしゃべり会」を通じて自己肯定感が育まれていること、さらに自己表現力もついてきていることを感じています。
様々な想いを抱え、教室での過ごし方に不安がある生徒であっても、それぞれ驚くような才能を秘めています。個々の才能を認めて、中学卒業後の出口を示していきたいです。
鴨居中学校の中村悟先生(右)と、城南進学研究社教育ソリューション事業部の水野